2021.03.21

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生酛・山廃酛・速醸酛 知っているようで知らない日本酒用語 その1

生酛・山廃酛・速醸酛 知っているようで知らない日本酒用語 その1

生酛・山廃酛・速醸酛 知っているようで知らない日本酒用語 その1

明石の酒蔵、茨木酒造です。
日本酒は米から作られていることは知っているけれど、具体的にどうやってつくられているのかよく知らないという方は多いのではないでしょうか。
実は、日本酒の製造方法は3つあります。共通点は「アルコールを生産する酵母菌を増やしつつ、有害な雑菌の繁殖を抑える」ということ。また、製造方法によって日本酒の味のテイストが異なるため、日本酒ファンの方にはぜひ飲み比べてみていただきたいところです。
今回は、日本酒の製造方法の種類と、製造方法による味わいの違いやそれぞれの特徴について詳しくご紹介します。これを読めば、日本酒を選ぶときのヒントにもなりますよ。「日本酒ってどんなふうにつくられているんだろう?」「つくり方によって味にどんな違いが出るのだろう」など、疑問をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。

目次

●日本酒の製造方法
●生酛とは
●山廃酛とは
●生酛と山廃元の違い
●速醸酛
●茨木酒造の日本酒の製造方法は?
●まとめ

●日本酒の製造方法

日本酒の製造には、アルコールを生産する酵母菌を増殖させる必要があります。しかし、酵母菌が増殖する環境では、有害な雑菌まで繁殖してしまいます。そのため、日本酒を作るときは、仕込みに使う原料の約1割弱に相当する米と米麹、水だけを小さなタンクに入れ、酵母菌を増殖させてから大きなタンクに移します。これにより、有害な雑菌の増殖を抑えつつ、酵母菌を増やせるのです。

この工程のことを「酛」といいます。「生酛」と「山廃酛」、「速醸酛」の3つの方法があります。これら3つの特徴やそれぞれの違いについて詳しくみていきましょう。

●生酛とは

生酛(きもと)とは、生酛系酒母の作用で有害な雑菌を排除し、アルコール発酵を促す製造方法。酒の製造方法の中では最も歴史が古く、明治時代の中期まではこの方法が主流でした。生酛造りでは、自然の乳酸菌から乳酸を培養させるために、米と米麹を、櫂(かい)という道具ですり潰してドロドロにする「山卸し」という作業を行います。大変な重労働ですが、これにより、天然の乳酸菌を育成して乳酸を作り、アルコール発酵を促します。これに1か月かかります。またそうした作業の中で「蔵付き・家付き」と呼ばれる、醸造場に長年住みついてきた酵母を取り込むため、日本酒にその蔵の独自の味わいが生まれると言われています。
しかし、生酛は有害な雑菌が増えることで腐ってしまうケースが少なくありません。時間をかけて製造したお酒が腐ってしまえば、全て造り直すことになります。そのため、当時の酒造りの職人たちは、大きな労力をかけてお酒を造っていたんですね。
生酛造りは時間と手間がかかるため、日本酒の製造方法において少数派となっていますが、この製法にこだわって日本酒造りをしている蔵もあります。

●山廃酛とは

山廃酛とは、生酛と同じく乳酸菌を育てる流れでアルコール発酵を促す製造方法。生酛とは違い、「山卸し」は行いません。「山卸しという工程を廃する」、略して「山廃」というわけです。
山卸しを行わずにアルコール発酵を行えるのか疑問に思うかもしれません。山廃酛では、「麹」の力によって米のでんぷんが糖に変わり、糖が酵母に働きかけることでアルコール発酵を促します。
酒造好適米の登場、精米機の機能向上、でんぷんを糖に変える働きが強い麹菌の発見など、複数の要因で山卸しが不要になったと考えられています。

●生酛と山廃酛の違い

生酛との違いは、山卸しを行うかどうかのみ。酒質は、生酛と同じく複雑な味わいのものが多くなります。いずれも手間と時間がかかるため、酒造りの中では少数派です。
なお、山卸しすると、「酒母に含まれる成分が均一になることで、より良い日本酒を造れる」という意見があるため、生酛にこだわる蔵元も中にはあります。しかし、一方で、山卸しすると「酒母内の環境に問題が起きて味や香りに支障をきたす」という意見もあります。
こうしたことからもわかる通り、日本酒造りに正解はなく、それぞれの蔵元が自らの信念を貫きつつ、より良い日本酒の製造を目指しているのです。

●速醸酛

速醸酛(そくじょうもと)は、乳酸を添加してアルコール発酵を促す製造方法です。乳酸を添加すると、酸性度が高まることで有害な雑菌の繁殖を抑えられます。酵母菌は酸性度が高い環境でも増殖可能なため、安全にアルコール発酵できます。

 

速醸酛の可能性を見出したのは、明治時代に生きた岸五郎と呼ばれる人物。水や酵母の培養の研究を続け、科学的見地に基づいた酒造りを可能にしました。また、乳酸を添加することで有害な雑菌の増殖を抑えつつ、酵母を増殖できることを発見しました。この段階では、速醸酛は完成していません。

 

速醸酛を完成させたのは、醸造試験所(現在の独立行政法人酒類総合研究所)に在籍していた江田鎌治郎氏です。江田氏は、有害な雑菌の増殖を抑えるには、酸性の環境を作り出すことが必要だと解明し、速醸酛を確立させました。
日本酒のラベルには、製造方法が記載されています。現在では、速醸酛が一般的な製造方法のため、速醸酛で作られたお酒にはその旨が記載されていません。「生酛」、「山廃」は、そのようにラベルに記載されています。
それぞれ味わいが異なるため、日本酒をより深く理解したい、色々なタイプを試してみたいという方は覚えておくとよいでしょう。

●茨木酒造の日本酒の製造方法は?

当蔵では基本、「速醸酛」での酒造りを行っています。しかし、兵庫県篠山市にある小さな集落「丸山」で作られた無農薬・無化学肥料で育ったお米を使った「まるの輪」(http://marunowa.jp/)は生酛のスタイル。
また、2021年3月に誕生したアーティストの和気優さんとのコラボ清酒「和氣」は山廃酛での酒造りです。

■YouTube茨木酒造 来楽チャンネル

◆兵庫県明石市の酒蔵「茨木酒造」と歌手の和気優さんのオリジナルコラボ・清酒「和氣」が完成!完成記念ライブ開催!

製品の個性や、スタイルに合わせて様々な手法で酒造りに取り組んでいます。

●まとめ

日本酒の製造方法についてお伝えしました。日本酒の製造にはアルコール発酵が欠かせません。しかし、アルコール発酵に必要な酵母を増やすときには、有害な雑菌まで増えてしまう恐れがあります。もし、有害な雑菌まで増えてしまえば、酒そのものが腐ってしまいます。生酛は伝統的な製造方法ですが、腐造になるケースが少なくありませんでした。現代では、主に速醸酛が用いられており、腐造になる心配はほとんどなくなっています。
一般に生酛・山廃酛は、しっかりとした深みとコクのある濃厚な飲み口の日本酒になり、速醸酛は淡麗タイプのすっきりした飲み口の日本酒になると言われています。
日本酒の好みは人それぞれ。どちらが優れているというわけではありません。さまざまな製造方法の日本酒を飲み比べて、それぞれの個性を楽しめるのも日本酒の面白いところです。
あなた好みの日本酒を見つけるために、製造方法に注目して日本酒を選んでみるのもよいのではないでしょうか。

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